八尾市デジタル戦略課様コンサルティング事例

中核市の自治体情報システム標準化対応を支援

この事例の背景

 これまで各自治体様は、「オープン化」、「パッケージ化」、「クラウド化」、「マイナンバー対応」等、その時々の最新技術やシステムの動向、制度改正対応等に合わせて、おおよそ5~15年ごとくらいにシステム再構築を進めてこられました。
 その総仕上げとも言える取り組みとして、令和3年に「地方公共団体情報システムの標準化に関する法律」が制定され、八尾市様を含めた全自治体様が一斉に標準化対応を進めることになりました。
 しかしながら、以下に示す20業務にも及ぶ基幹系システムを一斉に再構築するためには、高度な管理・調整能力や技術力、業務知識等が必要なうえに、相当程度の工数もかかることから、八尾市様はコンサルティング事業者への支援を決断され、当社に支援業務を委託いただきました。



1. 基本情報

【お客様】 八尾市政策企画部デジタル戦略課様
【システムの概要】 人口約26万人の中核市である八尾市様では、デジタル戦略課全体で11名、基幹系業務システム担当が2名の体制で、標準化対象の20業務に計7社のベンダーのパッケージを採用して、運用されていました。自庁でのサーバ運用にデータセンターでのハウジングも組み合わせ、比較的安価なコストで安定的なシステム運用を実現されていました。

2. 導入前の「リアルな」困りごと

 八尾市様としては、標準システムへの移行が義務化されたことに伴い、スムーズに標準準拠システムに移行するため、業務担当課様と現行ベンダーとの調整を行い、現行システムの概要調査やシステム事業者の選定などにあたって、RFI業務、標準準拠システムへの移行スケジュール管理や業務見直し等が必要になると考えておられました。
 ただ、これらには、技術的・業務的な知見・経験に加え、自治体情報システム標準化に関する知識、国や他自治体、ベンダーからの最新情報の収集、庁内各課及びベンダーとの調整等、多岐にわたるスキルやノウハウが必要になることが想定されました。また、通常業務で既に多忙な状況のデジタル戦略課職員様、各業務担当課職員様が、追加でそれらの業務を担うことはかなりの負担になることも予想されました。

3. 当社の支援内容

 令和4年度の住民基本台帳システム、税務システムの標準化対応準備から始まり、令和5年度からは全業務システムの支援を5名体制で開始しました。支援項目は、原則右の表「自治体情報システムの標準化・共通化に係る手順書」で定められた「自治体における作業」全般にあたります。
 この中でも特に当社が注力したのは、「⑥RFIの実施」と「移行支援・プロジェクト管理支援(⑬~⑮に相当)」です。
 今回の標準化対応は約4年間(当初の期限が令和7年度まで)という短期間で全国約1,800の自治体が一斉にシステムを再構築するという大事業ですので、ベンダー側の対応余力が限られ、自治体間でベンダーの取り合いになり、売り手市場により委託費が高騰することが予想されました。また、途中からは、各ベンダーが急ごしらえで標準システムを開発したことによる品質面の懸念も顕在化してきました。
 当社としてはRFIでできる限り幅広い情報を収集して八尾市様の選択肢を増やすことと、移行フェーズにおいては八尾市様とベンダー間のコミュニケーション不足等が発生して業務に影響を及ぼすことがないよう、最大限の支援を心がけました。
 具体的には、当社コンサルタントが業務担当課様に直接寄り添い、二人三脚で標準化に取り組めるよう「伴走型」の支援体制を構築しました。業務担当課の職員様と密にコミュニケーションをとりながら進めることで、デジタル戦略課様の庁内・システム間調整負荷を大幅に軽減しつつ、プロジェクトを推進できたと考えています。

 
4. 成果とお客様の声

 標準化移行の当初の期限である令和7年度中に、住民基本台帳を含む8業務の円滑なシステム移行を実現できました。マルチベンダ環境下での複雑なデータ連携調整や外部要因による移行遅延、事業者の撤退など、さまざま困難がありましたが、キートンコンサルティング株式会社様の的確なコンサルティングにより、プロジェクトを推進することができました。また、月1回の定例会で各業務における進捗報告をいただけたことで、全体状況の把握と合わせて、各業務の個別課題や、標準文字やガバメントクラウド等に関する横断的な課題にも対応することができました。
 さらに、標準化業務の枠にとどまらず、ログイン管理の最適化や住民情報系のファイルサーバ構築といった、本市の情報基盤強化に繋がる多角的なご提言を賜り、心より感謝申し上げます。

5. 担当コンサルタントの感想

 システムの導入が成功したかどうかは、多角的な観点で評価されます。今回の標準化対応においては、「イニシャル・ランニングコストの削減」「現場の業務に合った使いやすい機能の実装」「スケジュール遅延のないスムーズな導入」「運用負荷の軽減と業務効率化への寄与」「セキュリティ強化」「住民サービスの向上」「標準仕様への対応(国のデジタル化施策への対応)」等が主なものとして挙げられます。
 今回の業務は標準システムの導入であることを考えれば、当社としてはランニングコストをできる限り低減して将来に渡る八尾市様の歳出を抑制することと、適切な進捗管理を行って予定どおりシステムを導入すること、そして個人情報の漏洩等を起こさないよう第三者の視点でセキュリティ強化に取り組むことが頑張りどころでした。
 令和8年3月時点、結果として、ランニングコストは全国のほぼ全自治体で、当初の国の目標であった「情報システムの運用経費等を平成30年度(2018年度)比で少なくとも3割の削減」は実現が難しい状況になっており、八尾市様においても同様の状況です。また、これもやはり他の中核市と同様、全システムを当初期限であった令和7年度中に標準化することは困難を極め、7システムが令和8年度以降の稼働(特定移行支援システム)になりましたが、それ以外の14システムは、令和7年度末までに標準化対応が完了しています。
 一方、セキュリティの強化については、端末のログイン管理の仕組みの見直しや共有ファイルサーバの導入、それに伴うUSBメモリによるデータ引き渡しの原則廃止等、当社からの提案を採用いただき、導入支援までできたことはコンサルタントとして非常に喜ばしい成果となりました。

【参考】デジタル庁の発表によると、標準化の対象となる全34,592システムのうち、令和7年12月末時点で、8,956システム(25.9%)が特定移行支援システムに該当する見込みで、特定移行支援システムを1つでも有する団体数は1,788団体のうち935団体(52.3%)。
【参考】中核市の全国62の中核市でつくる中核市市長会は29日、政府が進める自治体システムの標準化により、運用経費が平均で移行前の2.3倍に膨らむ見通しとする調査結果をまとめた。



右上から、八尾市デジタル戦略課の森本享秀次長、金廷成課長、村上訓義参事、花岡宣和課長補佐、尾崎洋之係長
左上から、キートンコンサルティングの寺澤、松浦、若山

(令和8年3月)

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